中国では、「養老プランナー」や「養老顧問」といった新しい職種の求人が数多く登場しています。求人サイトには「仕事は簡単」「在宅で月収10万元(約210万円、1元=21円)」などの魅力的な文言が並び、多くの求職者が応募しているようです。
しかし、取材を受けた応募者の多くが「実際には保険や不動産の営業だった」と語っており、「高収入」「自由な働き方」といった言葉に惹かれて応募したものの、実際は完全歩合制で収入が安定しないケースが多いといいます。
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記者がある「健康テクノロジー会社」に応募したところ、担当者は「高齢者向けの高級老人ホームを紹介し、購入契約を取る仕事」と説明。契約1件につき数万元の報酬があるものの、契約が取れなければ給与はゼロとのことでした。また、応募段階で「心理テスト」と称して家族の年収や交友関係、人脈情報を入力させるなど、個人情報を収集している企業も確認されたそうです。専門家は「こうした情報の収集は目的外利用や詐欺に悪用される危険がある」と警告しています。
さらに、求人サイト上では「入社1か月で年収370万元」「夫婦で年収4200万元」といった誇大な成功例を掲載する企業も多く、「典型的な虚偽宣伝」と報じています。北京市のある弁護士は「求人企業には、仕事内容や給与体系、職業リスクを正確に明示する法的義務がある」と指摘しています。
専門家たちは、成長する「養老産業」に期待が集まる一方で、資格制度や職種定義が不十分なことがトラブルの原因になっていると分析しています。。
求職者にとっては、「高収入」「未経験者歓迎」といった甘い言葉の裏に潜むリスクを見抜く力が求められます。企業の実態を調べるには、企業情報サービスで確認したり、口コミや退職者の意見をチェックするのも有効だそうです。
中国の高齢化社会が進む中、「養老ビジネス」は確実に拡大しています。しかし、その発展が真に健全なものになるには、働く人と消費者双方の信頼を得る仕組みづくりが欠かせないと言えそうです。
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