中国で「20元(約420円、1元=21円)」という超格安の航空券が登場し、話題を集めています。
9月中旬、中国メディア『潇湘晨報』は、「旅行シーズンが一段落したこの時期に、航空券価格が過去にないほど大幅に値下がりしている」と報じました。
特に上海や武漢、南寧などの人気都市では、8月末から航空券が1~2割引まで値下げされ、「価格の底値」とも言える状態に。ホテルの宿泊費も同様に下がっているため、「今がチャンス」と旅行を前倒しする人も出てきているそうです。
例えば、9月17日の北京〜太原では、中国国際航空のチケットが2.4割引の310元(約6500円)、南方航空では9月15日の上海〜武漢が1.5割引の340元(約7100円)と、新幹線よりも安い水準になりました。

さらに驚くべきは、成都からタイ・バンコクへのフライトで、なんと20元(約420円)のチケットも販売されていることです。四川航空のアプリ上では、9月20日出発便に超低価格の航空券が実際に出回っているとの情報もありました。
こうした「破格の航空券」の背景には、航空業界特有の価格戦略があるようです。
「航空券の価格は需要やタイミングに応じて細かく調整される経済モデルの代表例」であり、空席を埋めるために価格を極端に下げる「価格差別化」が広く行われているとのこと。
たとえば、観光地からの帰国便に需要が集中し、往路が空席になりがちな場合、航空会社は往路の座席を大幅に値引きしてでも座席を埋めようとすることがあります。また、すでに高価格帯のチケットである程度の収益を確保できていれば、残りの座席を格安で売ること自体が「利益確保」につながるという考え方もあるそうです。
中国の航空業界は、こうした動的価格設定を活用して、閑散期でも顧客を取り込み、全体としての収益性を維持しようとする姿勢が顕著です。日本ではあまり見られないような大幅な価格変動ですが、この柔軟性が中国国内旅行をより活性化させているのかもしれません。
