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「一家に一台」はまだ遠い?中国で広がる食洗機ブームの現実

『新華網』が伝えたところによると、中国で食洗機(食器洗い乾燥機)の販売が拡大しています。2025年1〜6月の小売総額は62億元(約1300億円、1元=21円)、販売台数は10万台に達し、いずれも前年より7〜8%増加しました。

今年からは全国規模の「以旧換新(古い家電からの買い替え補助)」対象にも加わり、普及拡大への後押しとなっています。

しかし、普及率は2024年時点でわずか3.2%。欧米の70〜80%や日本・韓国の30%に比べると大きな差があり、「伸びは大きいが定着には時間がかかる」との見方が強いようです。

食洗機は2010年代から中国メーカーが参入し、2015年以降に急成長。2023年には市場規模が119億元(約2500億円)に拡大しました。特に「老板電器(ROBAM)」の食洗機事業は粗利が42.6%と記載しており、企業にとっては魅力的な分野です。

一方で、普及を妨げる要因も少なくありません。まず価格です。2025年上半期の販売状況を見ると、オンラインでは4000元以下が増えている一方、オフラインでは9000元以上の高級モデルが半数を超え、価格の二極化が進んでいます。

また、中華料理は油汚れが強く食器の種類も多いため、「洗浄力に不安がある」「結局手洗いが必要」といった声も少なくありません。いまだに油汚れを完全に取り、食器も傷つけない技術を見つけ出していません。

さらに、住宅事情も課題です。古い住宅には設置スペースがなく、特に水槽一体型は「むしろスペースを取る」「水圧が弱い」との不満もSNSで目立ちます。

低い普及率のためアフターサービス網も十分ではなく、「費用がかかる割に使い勝手が悪い」と感じる利用者もいるようです。設置したとしてもあまり使っていない家もおおくいるようです。

家電協会の専門家は「消費者の生活習慣に合った製品を開発し、洗浄力や利便性を向上させることが普及の鍵」と指摘しています。

それでも、将来の普及に備えて、地方政府が住宅設計基準に食洗機用の配管を盛り込むなど、新築物件では標準装備化の動きが始まっています。

洗濯機がかつてそうであったように、中国の食洗機も技術革新と生活スタイルの変化によって「一家に一台」が当たり前になる日が訪れるのかもしれません。

参考:何时走进千家万户?洗碗机市场调查

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