中国でロボット技術の進化が加速する中、「人型ロボット」の実用化が現実味を帯びてきています。
『群衆新聞』によると、2025年5月に西安交通大学と深圳のロボット企業が共同開発した人型ロボット「巡霄(じゅんしょう)」が、実際に料理やコーヒーの抽出といった日常タスクに挑戦し、その成果が注目を集めているそうです。
「巡霄」はAIによる認識システムを備え、パンの焼き加減やコーヒー豆の状態を感知して最適な動作を自動で行ないます。開発企業の説明では、「感知—判断—実行」という一連のプロセスを自律的に行えるようになっており、ロボットが家庭内で役割を担う時代が徐々に近づいていることを示しています。
さらに、医療の分野でもロボット技術が実用段階に入っています。2024年10月には、西安交通大学第二附属病院の医師が、西安から約2600キロ離れた新疆ウイグル自治区にいる患者へ遠隔でロボット手術を行い成功させました。データ送るのにわずか0.01秒遅延という高精度な技術が用いられ、地域格差のある医療現場にもロボットが貢献し始めています。
また、西安を拠点とするロボット企業「中航創世」では、介護やリハビリ分野への応用を進めており、個別のニーズに応じたサポートを行うリハビリロボットの開発が進んでいるとのことです。企業の担当者は、「今後は軽量化と柔軟な制御性能の向上によって、家庭生活にも導入しやすくなるだろう」と語っています。
ただし、すぐに家庭用人型ロボットが普及するかというと、まだまだ時間がかかるようです。
専門家によると、「人間にとって難しいことはロボットにとって簡単なことよくありますが、人間にとって簡単なことほどロボットには難しい」という開発の課題があります。たとえば、単純に見えるファスナーを引く動作でさえ、ロボットには非常に高度な制御が求められるそうです。
今後は、まず産業や医療、介護といった特定の分野で段階的に導入を進め、最終的には家庭への普及を目指すという方針が現実的なようです。中国ではロボットの社会実装が急加速しているように見えます。
日本でも荷物の仕分けや介護の分野などロボットを導入する動きがあります。未来の世界でロボットがどのように人間の社会で活躍するかを楽しみです。