中国のホテル業界で、宿泊客からの「保証金」徴収を巡る摩擦が多発しているようです。
『36Kr』によると、近年、一部のオンライン旅行サイトやホテルチェーンが保証金不要の「信用宿泊」を推進しています。
しかし、多くの現場スタッフは保証金制度を必要と考えているそうです。なぜなら、これは宿泊中に発生する備品の紛失や部屋の破損、清掃費用の増加といったトラブルを防ぐための「最後の盾」となるからです。
厦門の中高級ホテルで働くフロントスタッフの林さんは、「今年だけで何度も『今は保証金いらないはずでは?』と詰められた」と話します。ある時は、530元(約1万1100円、1元=21円)の部屋を予約した女性客に600元(約1万2600円)の保証金を求めたところ、「部屋に金でも使っているの?」と激怒されたといいます。
最近では、広州のホテルで男性客が傘の貸し出しに50元(約1050円)の保証金を求められ、支払いを拒否してフロントスタッフにペットボトルを投げ、2人が負傷する事件もありました。
本来、予約ページに「保証金が必要」と明記すれば誤解は減りますが、経営側は予約率低下を恐れて表記に消極的です。
また、保証金の徴収を巡るトラブルはSNSで炎上しホテルの評判を酷く傷つく場合もあります。
一方で、保証金を取らなければ被害が増えるのも事実です。あるホテルでは、客の飲酒による嘔吐で寝具やカーペットが総入れ替えになり、清掃費と損害で1000元(約2万1000円)が発生したケースや、退室後にドライヤーや枕が消えて500元(約1万500円)を差し引いた事例もあります。こうした損失を防ぐため、多くのホテルスタッフは保証金制度が必要だと感じています。
ただし、大手の一部ホテルは信用スコアや会員ランクでリスクを判断し、保証金を廃止する動きも出ています。今年、三亜の高級ホテルが1か月間「保証金なし」を試したところ、連日深夜の騒動や部屋の荒れ放題という事態が発生したそうです。
現場スタッフからは、「保証金をなくすなら、損害免責やトラブル客を判別できるシステムを整えてほしい」という声が上がっています。
確かに、ここ数年の中国旅行ではホテルで保証金が必要となるケースは激減しているような気がします。保証金制度は将来的に無くなる方向に流れるに間違いありません。
その流れの中で客とホテル側の明確な責任を明記したり、ホテル側に損失を負わせるお客様に対する個人信用との関連を明確にしたりする法律あるいは条例なども必要になるかもしれません。
保証金の有無にかかわらず、ホテルスタッフの努力に敬意を表してきれいに丁寧に部屋を使って欲しいのがホテル側の切実な願いです。客としてもマナーを守る義務があることを忘れずに。