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第2のMIXUEになるべく120円コーヒーで中国カフェ市場を席巻「幸運咖」

中国のカフェ市場に、低価格戦略を武器にした新たな挑戦者が現れています。

大手ドリンクチェーン「蜜雪冰城(MIXUE)」が手がけるコーヒーブランド「幸運咖(ラッキーカップ)」は、1杯5.9元(約120円、1元=21円)という驚きの価格で、一気に店舗拡大を進めています。

『定焦One』によると、2025年内に全国で1万店体制を目指しており、これはすでに7828店を展開するスターバックス中国を上回り、ラッキンコーヒー(2万6206店)やコッティコーヒー(1万5000店)に迫る数字です。確かに、ここ数年で地方都市で至る所で幸運咖を目にするようになりました。

幸運咖は2017年に誕生しましたが、当初は下町や学生街を中心に展開し、存在感は大手2社に及びませんでした。しかし2020年に蜜雪冰城(MIXUE)が完全子会社化し、「5年で第二の蜜雪冰城を作る」という目標を掲げてからは急加速。レギュラーカップのアメリカンコーヒーを8〜10元から5元台に値下げし、地方市場を中心に浸透しました。2025年7月時点では全国で6140店を展開しており、年内にさらに3860店以上を開く計画です。

最大の強みは、蜜雪冰城の巨大なサプライチェーンと加盟店モデルにあります。コーヒー豆や牛乳などの原材料を大規模一括仕入れし、1杯あたりの原価を2.5元程度に抑制。ブラックコーヒーは5.9元(約120円)でも粗利益率48%を確保できます。さらに、ロイヤルティがなく、加盟費用もライバルより安く、店舗開業コストは12万7000元(約267万円)と低めです。

ただし、一二線都市(北京、上海、広州など)への進出には課題もあります。好立地の多くはすでにラッキンやコッティが押さえていますし、家賃もそれなりに高いので、利益を確保するのに、販売杯数の要求も高くなってきます。

さらに、大都市の消費者はブランドや味の安定性にも敏感で、単なる低価格だけではリピート獲得が難しいといわれています。ラッキンが9.9元(約210円)の高品質コーヒーで確立した認知度を崩すには、それほど簡単ではありません。

中国のカフェ市場は今や競争が過熱し、便利店の挽きたてコーヒーも低価格でシェアを伸ばしています。幸運咖が「第二の蜜雪冰城」になるためには、低価格とスピードだけでなく、ブランド力や品質面でも差別化を図る必要があると考えられます。

参考:5块9的幸运咖“进城”,瑞幸库迪慌不慌?

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