2025年、甘粛省の省都・蘭州市でスタートする小学校の入学制度が話題となっています。
『百度新聞』によると、今回の制度改正では「煩雑な書類の撤廃」や「一住宅一学生」、「公私立の同時募集」など、大きな見直しが行われています。「教育の公平性」をうたったこの政策に、地元の保護者たちは期待と戸惑いの入り混じった反応を見せています。
まず注目されているのが、入学手続きの簡素化です。従来は提出が必要だった「未就学証明」や「予防接種証明」などの各種書類が一気に不要に。「教育局がようやく現場の声を聞いた」と評価する声もあるようです。これにより、保護者の負担が大幅に軽減されることが期待されています。
一方で、学区制度を基本としながらも、「一住宅一学生」ルールが導入されました。これは、1つの住宅に対して6年間で1人の入学枠しか認めないという制度で、人気校周辺の住宅を購入して入学を狙う“教育不動産戦略”への抑止策とも言えます。ただし、例外的に兄弟姉妹で同時入学が必要な場合などは、条件付きで認められる可能性があるようです。
また、これまで別々に行われていた公立・私立校の募集を一本化し、統一プラットフォームで申し込みが可能となりました。希望者が定員を超えた場合は「コンピューターによる無作為抽選」となり、抽選に外れた場合でも公立校へ配属される救済措置が用意されています。ただし、抽選に当たっても辞退した場合には、将来の進学に不利になることもあるとのことです。
こうした取り組みは、表向きには「選択肢が広がる」ように見えますが、実際には人気校に集中する傾向が続いており、「選べるけれど競争はむしろ厳しくなっている」とも言えます。
この制度改革は、蘭州だけでなく中国各地で進む教育政策の縮図とも言えます。公平性を求める一方で、地域や経済状況による格差は依然として根強く、教育を取り巻く競争環境は簡単には変わりそうにありません。
とはいえ、今回のような制度改革によって、多少なりとも「家庭の資産やコネに頼らずとも進学のチャンスがある」という雰囲気が生まれてきたことは、前向きな変化として評価できそうです。教育を「一発勝負の賭け」ではなく、「耐久戦のマラソン」と捉え直す動きが、今後さらに広がっていくことに期待が集まっています。