中国では、若者たちの間で「爆改(ばくかい)婚礼」と呼ばれる個性重視の結婚式スタイルが注目を集めています。
『新華網』が報じたところによると、1990年代後半から2000年代初頭に生まれた「95後」や「00後」世代が結婚適齢期を迎え、従来の形式にとらわれない自由な演出を選ぶ傾向が強まっているそうです。
「爆改」とは、中国の若者言葉で「大胆に改造する」「思い切ってリメイクする」といった意味があり、元は部屋の改造やメイク、ファッションなどに使われていた言葉です。それが今では、結婚式の演出にも応用され、自分たちの価値観を全開にした自由なスタイルが「爆改婚礼」として広まっているのです。
たとえば、江西省南昌市の「95後」の女性が行った新中式結婚式では、「中国紅」の装飾が鮮やかな中、伝統的な儀式を取り入れることで、タイムスリップ感が結婚式を一層盛り上がってくれます。
一方で、人気アニメ『カードキャプターさくら』をテーマにした「二次元婚礼」や、ファストフード店でのカジュアルな挙式も話題になっています。
北京では、マクドナルドで結婚式を行ったカップルが、ハンバーガーやポテトで来賓をもてなし、かかった費用は2万元(約42万円、1元=21円)以下だったそうです。また山西省太原市では、「95後」カップルが火鍋チェーン店で140人を招いて結婚式を開き、費用は2.25万元(約47万円)に収まったとのこと。
調査によれば、若者の78%が婚礼儀式に意味を感じており、半数以上の「00後」が「婚礼は人生の重要な儀式」と答えているそうです。式の演出はコストを抑えつつ自分たちらしさを前面に押し出す方向に進化しており、愛犬をリングボーイにしたり、ナイトクラブのような照明演出を取り入れたりと、多様な形が見られます。
このような動きはブライダル業界にも変化をもたらしています。
従来の「高額なパッケージ」に頼るスタイルでは満足できず、SNSなどを駆使して自ら企画・演出を行うカップルが増加。ブライダルサービスの中には「カスタム婚礼プラン」や「喜茶」などの新中式ティードリンクブランドによるケータリングなど、新しいビジネスも生まれつつあります。
背景には、長時間・高コスト・過剰な演出をともなう伝統的結婚式に対する若者の違和感や、「自分らしさを大切にしたい」という価値観などがあります。一方、話題作りにより、ネットでファンを獲得という動機も否定できません。
社会の進歩に合わせて結婚式が変化していくのは当たり前ですが、結婚は夫婦にとって一生の連れ添いが始まり、さまざまな問題を解決し、共に家庭を築いて行くスタートであることには変わりません。
素敵な結婚式で良い思い出を作り、新しい生活をスタートさせ、幸せな家庭に向けて努力するのは全てのカップルに共通でしょう。これから中国の若者らがどのような結婚式を考え出すのか楽しみです。