最近、中国で話題になっているのが「補習すればするほど成績が落ちる」という現象です。
ある記事では、退職したベテラン教師の助言によって、成績が伸び悩んでいた子どもたちが見事に改善したというエピソードが紹介されています。
春の帰省で親戚が集まった場に現れたのは、中学校で長年数学を教えてきた元教師。そこに集まってきたのは、補習に悩む保護者たちでした。
ある小学校3年生の父親は、「国語と数学の塾に行かせているのに、数学の成績がむしろ下がっている」と相談。するとそのベテラン教師は、「それは数学の問題じゃない。読解力が足りないんだ」と指摘し、国語の専門教師を紹介しました。
半信半疑で試したところ、なんと次のテストでは数学と国語の両方が大きく改善。特に苦手だった応用問題は全問正解だったそうです。
また、中学2年生の娘を持つ母親も悩んでいました。娘は今まで学校外の授業を受けていなかったものの、中間テストの成績が下がったことに焦り、有名塾に通わせたとのことです。
しかし成績は回復せず、むしろ他の教科まで悪影響が出てしまったそうです。冒頭のベテラン教師は「塾はやめて、学校の先生としっかり連携し、基礎を見直すことが一番」とアドバイス。結果として、娘の成績は全体的に回復し、生活リズムも整ったといいます。
この教師が伝えたかったのは、「成績が下がる=すぐ塾に通わせる」という短絡的な考え方の危うさです。
「塾に通わせれば親の責任は果たした」と思い込む保護者が多く、それは本当に子どものためになっているのか?と深く考えていないのは現状です。
さらに、現在の多くの塾が「点数アップ」に特化しており、基礎知識の繰り返しや、試験の出題傾向に絞った指導が中心であることも問題です。子どもが本来持っている「学ぶ楽しさ」を奪ってしまい、結果的にモチベーションも成績も下がってしまうというのです。
特に印象的だったのは、「数学の問題を解けない理由が読解力にある」と見抜いたベテラン教師の指摘です。今の小学生向けの問題は、文章の読解力がなければ解けないものが多く、単なる計算力では太刀打ちできません。学力の問題を“本質”から見極めることの大切さを感じさせられます。
日本でも、「とりあえず塾へ行けば安心」という風潮がありますが、それが本当に子どもの課題解決になっているのかどうか、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。
子どもの特性や課題に合わせて、きちんと“効く処方箋”を出せる大人の存在が、子供の勉強の本当の意味の助けとなるかもしれません。