中国では、子育て世代を支援する新たな政策が注目を集めています。
中国では「育児補助金制度」により、0~3歳の乳幼児を持つ家庭は、子ども1人につき年間3600元(約7万2000円、1元=20円)の現金補助を受けられるようになります。
2人目や3人目の子供でも同額が支給されます。また、2025年1月1日以前に生まれた3歳未満の子どもも対象で、月割りで計算されます。たとえば、2023年12月生まれなら最大24か月分、計7200元(約14万4000円)を受け取れるとのことです。
『海通国際』の試算では、この政策による年間の補助金総額は約720億元(約1兆4400億円)に上り、そのうち60%が母子関連の消費に回ると想定されています。結果として、マタニティ・ベビー市場だけで約432億元(約8640億円)の消費拡大が見込まれます。実際、政策発表直後には乳業関連株が急上昇しています。
今回の全国的な補助制度は、従来の地方試験的取り組みから一歩進んだもので、中央政府が約90%を財政的に負担します。
申請手続きもオンラインを中心に簡便化され、一部地域では「申請不要で自動振込」という仕組みも導入される予定です。低所得世帯には全年所得金額に加算しないなどの配慮もなされています。
今後は補助期間の延長や金額増額といった追加策も検討される可能性があります。
もっとも、年間3600元の補助が若者の出産意欲を根本的に変えるかは未知数です。
0~3歳児の年間養育費は平均約2.5万元(約50万円)とされ、補助金でカバーできるのは約14%にすぎません。それでも、ベビー用品や教育、医療分野など関連産業への波及効果は大きく、専門家は「消費を喚起し経済に活力を与えるきっかけになる」と分析しています。
出生率の本格的な改善には時間がかかると見られますが、国家が育児支援に本腰を入れたことは、中国社会に新たな変化をもたらしそうです。
参考:3600元育儿补贴,能撬动什么?