日本の生活雑貨ブランド「無印良品」が、新たな市場としてペット用品分野に本格的に参入したと中国で報じられています。
親会社の良品計画は8月6日から猫や犬向けの新たな14種類の商品を販売開始。価格は「ペット用タオル」が790円、「天然成分のシャンプー」が990円などで、旅行バッグ、陶器製食器、ベッド、玩具など幅広いラインナップを揃えます。
昨年11月に猫用フードや雑貨を試験的に販売し好評を得ていたことが今回の拡大につながったそうです。
背景には業績不振があるようです。無印良品は2024年9月、中国の直営店とECで売上が前年同月比12%減少、東アジア全体でも6.2%落ち込んでいました。成長の柱を模索する中で、年平均18.6%という高い伸び率を見せるペット市場に進出した形です。
近年、中国では「周大福」が金製のペット用アクセサリーを発売したり、アディダスが上海でペットイベントを開催したりと、異業種の大手企業が次々に参入しています。
一方で、すべての企業が成功するわけではありません。美的集団はかつてペット家電事業に参入しましたが、細かい飼育ニーズを捉えきれず撤退に追い込まれました。
『36氪』の記事では「既存製品を単純に移植するのではなく、ペットと飼い主の視点から課題を解決することが不可欠」だと指摘しています。
中国でペット市場がこれほど拡大している背景には、「孤独経済」と呼ばれる社会現象があります。
都市化や少子化の進行により、ペットが家族の一員としての存在感を増しているのです。高齢者は生活の支えとして、子どもを持たない家庭は精神的な「子ども」としてペットを迎えることが多くなっています。
その結果、食事や健康管理だけでなく、美容、保険、葬儀まで幅広い分野で需要が生まれ、産業が細分化して成長しているのです。
日本でもペット関連の消費は増えていますが、中国のように家電やスポーツブランドまでが積極的に参入する動きは目立ちません。
今後は、中国で生まれる新しいビジネスモデルが日本にも広がるかもしれません。ペットが「家族」として扱われる社会の変化に合わせ、どのような商品やサービスが登場するのか、注目されます。