中国の高級ジュエリーブランド「老舗黄金」が注目を集めています。
『財経天下』によると、同社の販売員採用は「客室乗務員よりも厳しい」とされ、応募には身長160〜168cm、体重55kg以下、20〜35歳といった厳格な基準が設けられているそうです。
外見に関しても「親しみやすく」「上品で派手すぎない」ことが求められ、髪型やメイクまで細かい制限があるとのことです。地方都市の店舗での採用は2回の面接を経て、最終面接は本部の北京で行います。
実際に、航空会社勤務経験者や化粧品ブランド出身者が面接で不合格となる例もあり、倍率の高さがうかがえます。
それでも求職者が後を絶たないのは待遇の良さが背景にあります。入社後半年は1万〜1.5万元(約22万〜33万円、1元=約22円)の保証給があり、その後は歩合制となっても平均月収は2万元(約44万円)に達するとのことです。
勤務時間は1日7時間、福利厚生も整っており、北京勤務では専属の栄養士まで用意されているそうです。
業績も好調で、2025年上半期の売上高は前年比251%増の123億5400万元(約2710億円)、純利益は286%増の22億6800万元(約497億円)に達しました。
さらに、顧客の77%以上がエルメスやカルティエなどの海外高級ブランド購入者と重なるなど、「黄金界のエルメス」と呼ばれるブランド力を示しています。
価格改定後も店頭には行列が絶えず、海外展開も開始。6月にはシンガポールに初の海外店舗を出店し、国際市場進出の一歩を踏み出しました。
一方で株価は最高値から約37%下落しており、在庫の積み増しや資金繰りに対する懸念が広がっているようです。国内競争の激化や海外戦略の不透明さも指摘され、投資家の警戒心が続いているようです。
中国では「ブランド体験」に強い価値が置かれており、高級ブランドと位置付けている老舗黄金の厳しい採用基準もその一環と考えられます。
今後、こうした中国発の高級ブランドが世界市場でどのように存在感を強めていくのか注目されます。