中国の淹れたてコーヒー市場が、大きな転換期を迎えています。
『36Kr』によると、かつて中国の淹れたてコーヒー市場シェアの42%も占める圧倒的存在感を誇った米コーヒーチェーン大手のスターバックスが、中国市場で苦戦しています。
2025年7月の決算では、中国での売上は7.9億ドル(約1,150億円、1ドル=145円)と前年比8%増でしたが、客単価は4%減少。背景には本土ブランド主導の激しい価格競争があります。
6月初め、スターバックス中国は創業以来初めて大規模値下げを実施し、大カップの一部商品を平均5元(約100円、1元=20円)引き下げ、最低価格は23元(約460円)となりました。しかし、依然として中国の各チェーンが主流とする9.9元(約200円)の低価格には及びません。この「価格の壁」を前に、スターバックスは一部株式売却の可能性も検討しているとのことです。
対照的に、瑞幸咖啡(Luckin Coffee、ラッキンコーヒー)やコッティコーヒー(Cotti Coffee)など本土勢は、低価格戦略と店舗拡大による規模効果で急成長。瑞幸は2023年には設立からたった6年で売上約249億元(約4980億円)でスターバックスを抜いて国内最大チェーンとなりました。9.9元コーヒーはすでに市場の標準価格となり、2025年5月時点で10元以下のコーヒー販売比率は前年より25ポイント以上上昇しています。
ただ、この低価格競争は業界の二極化を加速させています。上位ブランドが規模を活かしてシェアを拡大する一方、中小ブランドは閉店ラッシュに直面。2024年から2025年にかけて全国で閉店したコーヒー店は5.25万軒、閉店率は50%を超えました。
また、市場成長率は2023年の30%超から2025年には16%へと鈍化。こうした中、各社は「価格勝負」だけでなく、お茶と組み合わせた新メニュー、人気キャラクターとのコラボなどで差別化を図っています。
特に、蜜雪冰城(MIXUE)の供給網を活用する「幸運珈(Lucky Cup)」は、5.9元(約120円)のアメリカンコーヒーを実現し、加盟店に高い利益率を提供できる強みを持っています。
2025年の中国コーヒー市場は、低価格が常態化し、外資系の象徴だったスターバックスが脱落する一方、本土ブランドが主導権を握る時代に入ったようです。