上海で新しい飲料ブームが生まれています。それは「米飲」と呼ばれる、お米を主原料としたドリンクです。
『36氪』によると、中国の飲料市場では米を使った商品が相次いで登場し、特に上海の「茶米有言」というブランドが人気を集めています。同ブランドは黒竜江省五常産の高級米をミルクティーに使用し、一部の店舗では最高の月間売上が50万元(約1100万円、1元=22円)、リピート率は40%に達したとのことです。
2024年に1号店を開いて以来、現在では繁華街を中心に10店舗以上を展開し、口コミでも高評価を得ています。
「茶米有言」のメニューは約20種類。例えば看板商品の「鮮米豆花煎米茶」は、紅茶に炒米や黒糖を合わせ、五常米で作った豆花を加えるという独特の構成で、香ばしい米の風味が楽しめる一杯です。店内には稲田をイメージしたデザインや五常米の展示スペースもあり、単なるドリンク販売ではなく「稲作文化」を体感できる空間作りも人気を後押ししています。
また、米を使った飲料の波は他ブランドにも広がっています。「喜茶」などの大手が糯米スムージーを投入したほか、アイスクリームやヨーグルト、さらにはコーヒーにまで米の風味が応用されています。
この背景には、健康志向の高まりや“手作り感”へのニーズがあります。
実際、店頭で茶葉や米を炒る、煎りたてのスタイルや、玄米の香りを生かしたアイスなどは、見た目や香りのインパクトも強く、顧客体験を高める要素になっています。さらに、「五常米」というブランド米を使った希少性が商品の価値を高め、消費者の信頼につながっているようです。
かつては「乳糖不耐症の人向け」とされていた米飲ですが、今では一般層に広がりつつあり、健康的で文化的な背景を持つ新しいドリンクカテゴリーとして定着しつつあるようです。
米文化が根付く日本でも、甘酒や米麹飲料との親和性を考えると、将来的に米飲トレンドが輸入される可能性も十分ありそうです。