夏の暑さが本格化するなか、中国では「薬食同源」をコンセプトにした茶飲料が大きな注目を集めています。
『新華網』が6月30日に報じたところによると、植物系飲料市場の中でもこの分野は特に成長が著しく、2025年第1四半期には前年比20%以上の伸びを記録しました。
「薬食同源」をコンセプトとしたドリンクは「中式養生水」と呼ばれ、ハトムギ、紅豆、クコの実、ナツメなど、伝統的に薬用効果があるとされる食材を使って生産されています。
薬として一定な効果が認められた食品を使うことで、「健康志向のお茶」として注目を浴びています。2023年には市場規模が約4億5000万元(約900億円、1元=20円)に達し、2028年には100億元(約2000億円)を突破する勢いとのことです。
北京市内のスーパーではこれらのドリンクが専用の棚に種類豊かに陳列されたり、消費者の目を引いています。特に若者からの支持が高まっているようです。
調査によると、25歳から35歳の購入者が全体の約38%を占めており、「食べて体を整える」という「食養」の考え方が生活の中に自然と浸透してきているようです。
販売チャネルも多様化しており、「元気森林」や「サントリー」、「康師傅」など有名メーカーも相次いで新商品を展開しています。
ただし、好調な一方でいくつかの課題も見えています。特に「紅豆薏米水」などの定番商品が多すぎて、ブランド間での差が分かりにくい「同質化」が進んでいるようです。また、原材料の品質確保や安定供給、苦味などをどう改善するかなども課題です。
価格は500mlあたり4~9元(約80~180円)と、無糖茶よりやや高めに設定されています。
それでも、このジャンルが今後さらに広がる可能性は高いと予測されます。中国には中医学に基づいた食文化が深く根づいており、消費者もただの健康志向ではなく、伝統の知恵と現代的な飲料文化が融合した商品に価値を見出しているようです。
これからは「体質に合った飲料の選び方」や「ターゲット別の商品設計」が鍵となりそうです。
日本でも最近、薬膳や漢方の人気が高まっていますが、こうした中国の飲料トレンドが日本市場にも波及してくるかもしれません。
参考:药食同源茶饮市场调查