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中国の大学生は学食よりデリバリー? 校門にあふれる弁当の山

中国の大学では、学生たちの「デリバリー依存」が新たな社会現象として注目されています。

湖南省にある大学の正門前では、「デリバリー弁当」が大量に積み上げられ、まるで「デリバリーの山」と呼ばれるほどの光景が日常化しているそうです。昼食や夕食時には、数百個のデリバリー用の弁当が地面に露天で置かれ、学生たちがしゃがみ込みながら自分の注文した弁当を探している様子が目撃されています。

この大学は郊外に立地し、学食の座席数が足りない上に、料理のバリエーションも乏しく「4年間同じメニュー」と学生に揶揄される状況。これに対して、デリバリーは品数が豊富で、補助金やクーポンも利用でき、配達時間も正確なことから、多くの学生が利用しているとのことです。

全国的にも、大学周辺のデリバリー注文数は年間20%以上のペースで増加しており、70%以上の大学生が週に2回以上利用しているというデータもあります。

AIによるイメージ画像

一方で、「デリバリーの山」がもたらすリスクも深刻です。ネット記事では、「炎天下で放置された弁当は食中毒の危険がある」「配達員と車が入り乱れることで事故の危険が高まる」「取り違いや紛失などで学生のストレスが増大する」といった問題点が指摘されています。

このような状況に対し、一部の学校では「デリバリー禁止」という措置を取る動きもありますが、学生たちは門の外で直接受け取る「壁越し受け取り」など新たな手段を生み出しており、根本的な解決には至っていません。

そこで記事では、現代的な対応として「スマートデリバリーロッカー」の導入が紹介されています。紫外線による除菌機能や保温機能を備えたロッカーを導入した別の大学では、受け取り時間が平均15分からわずか90秒に短縮されたとのことです。

さらに、デジタル化を活用し、デリバリープラットフォームと学校の時間割や寮の配置情報を連携させた「分散配達」や、「信用スコア」に基づく配達員の管理体制、学生自治会が衛生チェックを担う体制など、より実効性のある対策が提案されています。

ただし、根本的な解決策としては、やはり「学生が食堂に戻ってくること」が必要だと指摘されています。記事では、「味」「価格」「スピード」の三拍子が揃った学食改革が求められており、オンライン注文への対応や、人気店舗へのインセンティブ導入も提案されています。

この話題は、単なる食の問題にとどまらず、中国の若者文化や消費行動の変化、さらには大学のガバナンスのあり方にも深く関わっていると言えるでしょう。学生の利便性を保ちつつ、衛生・安全・秩序をどう両立させるかが、今後の大きな課題となりそうです。

参考:长城快评丨校门口“外卖堆成山”,大学生特别喜欢外卖吗?

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