中国版バレンタインデーである「七夕」で、今年は中国の多くの地域で結婚登録の数が一気に増えました。背景には、婚姻手続きに関する新しい制度のスタートと、七夕のロマンチックなイメージがあるようです。
『界面新聞』によると、今年の5月から改定された「婚姻登記条例」により、結婚の登録に戸籍簿が不要になり、身分証があれば全国どこの婚姻登記所でも手続きできるようになりました。これまで、戸籍のある地元に戻らないと結婚できなかった人たちも、今は住んでいる場所で簡単に手続きができるようになったのです。
たとえば、人口の多い広東省では、当日だけで1万558組が結婚。去年の七夕には4803組だったので、5755組も増えて、約2倍の伸びでした。
山東省も同じような状況で、済南市では去年より800組多い1644組が結婚。遼寧省では、前年比178%も増加し、1日で4109組が登録。集団結婚式や婚活イベントも各地で開かれ、大きな盛り上がりを見せました。
都市部でもその傾向は同じで、上海では2310組が結婚し、ここ10年で七夕の最多記録。深圳では1805組(前年比70%増)、長沙では1925組(前年の約2倍)が登録を済ませています。
人口学の専門家・何氏によると、「身分証だけで手続きできるようになったことで、地元に戻らなくても結婚できるようになり、若い人たちにとって非常に便利になった」と話しています。制度の柔軟化が、結婚のハードルを下げたようです。
また、育児補助金制度も影響しているとされますが、「補助額が少ないため、結婚や出産を積極的に後押しするほどではない」とのこと。現在は子供1人あたり年間3600元(約7万2000円、1元=20円)の支給が行われています。
ただ、こうした変化がすぐに出生数に影響を与えるかどうかはまだ分からないようです。今年の上半期、全国での結婚登録数は353.9万組と、前年より10.9万組増加。今回の七夕の盛り上がりも合わせると、結婚数はこのまま上向く可能性が高いと見られています。
伝統と制度改革が重なった今回の動き。今後も中国の結婚事情に注目が集まりそうです。