高齢化と核家族化が進む中国で、付添いを仕事にする「付添い経済」が急成長しています。
『新華網』は、「高齢者の通院や介護を支える専門サービスや、若者の孤独感に寄り添う感情支援サービスまで、多様な付き添いサービスが新たな市場を生み出している」と伝えています。
例えば、北京市内の総合病院では、「付添い師」と呼ばれる人たちが、病院内の案内や手続きのサポート、感情的な支えまで担っているそうです。「両親が高齢で病院の手続きが難しい。仕事で付き添えないので、サービスを頼むのは必須です」と北京在住の女性は話しています。
中国では60歳以上の高齢者がすでに3億人を超え、その約半数が「空巣老人」つまり、高齢者だけで暮らしている状況だといいます。こうした背景から、家族に代わって通院に付き添う「付添いサービス」が広がっており、2025年には市場規模が500億元(約1兆円、1元=約20円)に達するとの予測もあります。
また、入院時の介護や日常生活を支える「付添いサービス」にも注目が集まっています。特に寝たきりや手術後の高齢者に対しては、専門的な知識を持つ人材が求められていますが、「短期間の研修を受けただけで現場に出る人が多く、質のばらつきが大きい」との指摘もあります。こうした中、北京や上海の一部の病院では、病院がリードして、病院側が付き添いサービスを提供して、サービスの質を向上と責任の明確化などを推進する取り組みも始まっています。
高齢者だけでなく、若者にも「付添い」需要が生まれています。「友達はいらないけど、誰かにそばにいてほしい」——そんな感情から、ランニングやゲーム、食事などの「感情的な付き添い」が商品化され、オンラインで募集されていいるそうです。こうしたサービスは手軽に利用できる反面、「情報の信頼性」や「プライバシー保護」などの面で問題も指摘されています。
一方、「付添い」という言葉の裏には、今の中国社会が抱える「孤独」や「分断」があるように感じられます。都市化、少子化、家族の分散化といった社会の変化が、従来家族が担ってきた役割を、外部サービスへと移りつつあるようです。
「人と人のつながり」をビジネスで補うこの新たな経済の形が、今後どのように発展していくのか、注視する必要がありそうです。
参考:陪伴”出来的大市场